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2024-03

空見らくだ

姉弟合作

緑の丘の向こうは、べっとりとした壁のよう
な一面の雲。エアコンの効いた室内からじゃ、
その熱量は感じられないけどね。

中空まで見上げると、青い穴がふんわりと浮
いていて、青空を主張しているよ。ブルーと
いうより空色、空の色だから当たり前か。

何か深みに欠けるライトな青だな~。台風7
号が去ったあとだけに、強風の名残はあるし、
雲の動きは速い。

主導権は空の青より、雲の白が握っているか
もしれない。横に走っていた雲が、もくもく
と立ち上がってきたよ。

縦の動きはより白く立体的だ。図に乗って動
きすぎ、バックの青空が楽屋口のように見え
てしまったりするよ。

グレーの雲は慎重だ。ゆっくり周りを固めな
がら広がってゆく。隈なく塗りたくって、青
空につけ入る隙を与えない。

月夜に限るんだけどね、空を見るのは。ベラ
ンダで首を巡らせているうちに、夜気が下り
てくるのが二の腕に感じられたりして。

思うようにならないのがらくだ界の常。夜で
なくても、ベランダでなくても空見する。上
げ膳下げ膳の個室に閉じ込められた時もね。

ホテルの窓みたいな縦長フレームに納まった
白雲のボリュウム。肉感的なまでに放
埓、放恣。惹かれるな~。

何処へも行けず、食っちゃ寝してるとね。ぼ
んやり空見をしても、妄想に囚われるのか。
野分後の雲はあぶない。


  大王はチャイルドシート水蜜桃


ふきのとうらくだ2

古畳

らくだ舎には赤味噌しかないので、蕗味噌も
黒っぽくなってしまう。味は変らないけど、
見た目がね。

蕗の薹の若緑を目でも賞味するには、やはり
白味噌で作った方がよかったかもしれない。
季節感が違うもんね。

春の若緑を生かすには、そのまんまが手っ取
り早いよ。みじん切りにして薬味代わりに振
り掛けちゃう。

今夜は豚しゃぶって時には、庭からふきのと
うを一つ採ってきて刻んでおいてね。ポン酢
の小皿にパラパラと振ると香りが立つ。

翌朝の味噌汁には、半分ほど残しておいたの
を刻んでパラパラ。とたんに春の味噌汁にグ
レードアップできちゃう。

何にでもパラパラ。悪のりしちゃうのがらく
だの悪い癖でね。次はグラタンにパラパラし
たけど当然アウトだったよ。

洋の本体に和の薬味がアウトなら、逆はどう
だろうか。和の本体に洋の薬味、納豆にパセ
リのみじん切り。

たまたま、ふきのとうの隣にパセリが生えて
いたんで思い付いただけ。当然のことながら
ツーアウト。

なんせ暇だからね。すぐに脇道に逸れちゃう
んだよ。気を取り直して王道に戻ろうか。蕗
の薹の王道。

今晩はらくだ舎のマネジャーに頼んで天ぷら
にしてもらおう。雨が止んだら庭でふきのと
う刈りをしよう。



  雪解風吹き渡るべしドニエプル


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ふきのとうらくだ

冬の赤

目にするほどの野鳥の名は幾らか分かるよう
になってきたけどね。木や草となると、まる
で駄目。ましてや花の名前となると…。

らくだ舎の庭で3月に咲いているのは、細く
頼りない茎の水仙と鉢の中に縮こまっている
パンジー。

花びらの深紅が褪せてしまったのはデイジー
だとか。この広大なガーデンを管理している
マネジャーが、ふきのとうを発見したよ。

ぱっと見には雑草みたいだけどね。ヒマワリ
の花を萌葱色に塗ったように、あっちこっち
に顔を出しているよ。

その中で大きめの若緑を二つほど採った。コ
ンクリートの塀際で身をよじっているような
のとレンガ囲いの影に隠れているのをね。

もっと広いところを選べば、コンクリートや
レンガに邪魔されないのに。ふきの塔も楽に
立てられるのに。

そんな風に考えてしまうのは、らくだがいつ
も楽な道を選んできたからかな。蕗の薹の方
がらくだより余程パワフルみたい。

ふきのとうさんの面構えを見直すとね。太陽
に真っ直ぐ向かっていくようなヒマワリの強
さを体現しているな気がするよ。

コンクリートやレンガなど瓦礫をものともせ
ずにね。若緑の生命を燃やす力、口にしたと
きの苦味さえ、その力かもしれないね。

11年前の東日本と今日のウクライナと、3
月の瓦礫を前に、胸中の苦さは増すばかり。
晩酌の蕗味噌も当然ほろ苦い。



  巣作りの羽毛いただく春の鳥


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青畳らくだ

居間の灯明

畳の張替えをしたよ。らくだ舎の和室は六畳
一室だから大したことはないけど、この一間
に入ると気持ちが入れ替わるみたい。

新調した畳の表は薄い緑色が鮮やかで、目が
醒めるよう心持ちになるよ。女房と畳は…の
ことわざが浮かんでくる。

色のほか匂いも佳いね。青い、いかにも草の
匂い。何たって国産の藺草だもんね。いぐさ
と言うより庵の匂いかもしれない。

古畳の頃は寝っ転がるとね。乾いた、枯れ草
の香が漂ってきたもんさ。茶色の畳が所によ
って白くささくれ立っていたりして。

今は青畳にごろん・ごろんするとね。ウエッ
トな匂いに包まれる。目をつむった瞬間に、
いい気持ちでうたた寝しちゃう。

初めのうちは風通しを良くしてくださいと、
畳屋さんに言われたよ。カビが生えるといけ
ないからだって。まだ生きているからか。

やっと秋らしくなった風が寝そべった青畳を
滑ってくる。裏の畑から百舌の高鳴きが聞こ
えるよ。また他の鳥の鳴き真似みたい。

畑の横の空地ではコスモスが揺れ、まだ若い
芒がうなじを傾けているはず。寝転んで見上
げると空の青ばかりだけどね。

素晴らしい秋晴。雲一つない、本当に一つも
ない晴天。長らくハッシュツされていた重し
が取り外された開放感にぴったり。

秋晴の青空を見上げて寝転ぶ青畳。わずか六
畳なんだけどね。何だか広々と感じられるの
はやはり新畳パワーのためかな。



  初鴨と懇ろになる空と水


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八寸らくだ

小菊

千種駅近くの居酒屋、文では洒落たお通しが
出てくるよ。舟形の器に何種類かの酒肴が少
しずつ添えてあるんだ。

ちょっとしたつまみでも彩りがよくってね。
取りあえずビールで乾杯している間は、十分
にしのげるよ。

会席とかのコース料理には縁遠いんだけどね。
あちらでは八寸と言うらしい。舟形の皿に珍
味を飾り盛りにしたりね。

その舟形の陶器が何故からくだ舎の食器棚か
ら出て来たんだ。引き出物か何かで頂いたの
か。ついぞ使わなかったもの。

晩酌に出してもらったよ。食卓に舟形の器が
載ると、いくらか居酒屋ムードになるから不
思議だね。

五つある舟形の内、らくだが選んだのは煉瓦
っぽい駱駝色の器でね。両端に抹茶の緑を散
らした渋めのデザイン。

舟はなかなか立派なんだけどね。主賓はあり
合わせ。かまぼこをせめて飾り切りにし、手
作りの焼豚といつもの枝豆。

もう一品は苦し紛れに一口サイズの玉蜀黍。
これで左から紅白、焦げ茶、緑、黄。一応の
彩りを整える。

ビールの後は温燗にしてね。居酒屋、らくだ
亭にでも行った気分。八寸の後はカマスの一
夜干しで飲み過ぎてしまったよ。

まだ使ってない舟形デザインがあるからね。
あり合わせの総菜で八寸効果が楽しめるはず。
今晩は鉄っぽい黒と砂色の舟に乗ろうかな。



  唐突に遠く重い日秋暑し

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風待らくだ

Author:風待らくだ
海のらくだと言われるダウ船は、三角帆に風をいっぱい受けてアラビア海を渡ります。
らくだは港で良い風が吹いてくるのを待っているところです。

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